【衝撃】競馬のハンデ戦に斤量は関係なかった?

競馬のレースの中で最も難しいと言われるハンデ戦(ハンデレース)
JRAの専任のハンデキャッパーが全ての馬が同時にゴールに着くように各馬の負担重量(斤量)を決定します。

つまり、ハンデを決定するのは競馬のプロ中のプロ。
その中で、我々一般人はどうすればハンデ戦で勝つことができるのでしょう。

今回はその手掛かりを探すべく、負担重量と走破タイムの関係性をデータから紐解いていきます

負担重量(斤量)が重くなるとタイムは落ちる?

今回は2016年1月~2020年8月末までのJRAで開催された全レース、のべ22万5564頭のレースデータを使っていきます。

負担重量の差がわかりやすいように、4歳以上の牡馬、かつ良馬場の各負担重量における平均走破タイムを表にしてみました。
今回は出走頭数が比較的多い競馬場・コースをいくつかピックアップして分析しました。
※表では各コースの一番速い平均タイムを青文字で記載しています。

のべ出走頭数54kg55kg56kg57kg
小倉 芝1200m496頭1:08.91:08.91:08.71:08.9
東京 芝1600m606頭1:34.81:34.61:34.11:34.4
阪神 芝1800m359頭1:46.51:46.21:47.41:47.4
中山 芝2000m419頭2:00.72:00.72:01.92:01.8
中山 ダート1200m1236頭1:12.21:12.01:12.01:12.2
東京 ダート1600m1029頭1:38.21:37.51:37.51:38.4
京都 ダート1800m1072頭1:53.41:53.01:54.01:53.4
阪神 ダート1800m835頭1:53.71:53.71:53.11:53.9

いかがでしょうか?
自分自身も調べるまで気づかなかったのですが、どうやら負担重量と走破タイムには相関関係がないように感じます。

これまでの競馬の通説では、負担重量が1kg違うと1馬身(タイムで換算すると約0.2秒)違うと言われてきました。
阪神の芝1800mや中山の芝2000mでは55kg以下と56kg以上で明らかなタイム差がありますが、それ以外のコースでは表のとおり有意なタイム差が認められませんでした。
つまり、競馬において、負担重量とレースの走破タイムには関係性がないということになります。

ただ、やはりどうしても阪神の芝1800mと中山の芝2000mでのタイム差は気になります。
パッと考えられる理由は以下2つくらいでしょうか。

・距離が長くなると負担重量が影響してくる?
・比較的タフなコース形態だと負担重量が影響してくる?

牝馬でも負担重量とタイムに関係性はない?

上記を確認するために、次は同条件の牝馬のレースを調べてみます。
牝馬は基本的に牡馬より負担重量が2kg減らされている場合が多いので、データ数を確保するために2kg減らした負担重量でデータを取ってみました。
※のべ出走頭数が20頭より少ない負担重量の平均走破タイムは参考値として()内に記載しています。

のべ出走頭数52kg53kg54kg55kg
小倉 芝1200m885頭1:08.91:08.91:08.81:09.0
東京 芝1600m363頭1:34.5(1:34.3)1:34.41:34.3
阪神 芝1800m170頭(1:46.9)1:46.4(1:46.8)1:47.0
中山 芝2000m201頭(2:02.6)(2:02.4)2:02.32:02.3
中山 ダート1200m802頭1:12.51:12.51:12.61:12.4
東京 ダート1600m538頭1:39.11:39.11:39.41:39.0
京都 ダート1800m456頭1:53.91:53.91:54.41:53.7
阪神 ダート1800m326頭1:54.91:54.61:54.61:54.3

いかがでしょうか?
こちらの表でも負担重量による走破タイムへの影響は認められませんでした
どちらかと言えば、負担重量が重くなるほうがより速いタイムが出ているのが衝撃です。

牝馬の場合、ハンデ戦とかでない限り、ほとんどの馬が54kgもしくは55kgで出走します。
その影響からか、52kg、53kgを背負う馬の走破タイムは若干遅いですが、負担重量が重くなるとタイムが遅くなるという通説を否定するには十分な結果ではないでしょうか。

また、牡馬の際に焦点になった「長い距離」「タフなコース」という点でも、牡馬よりも敏感だと想定される牝馬で有意なタイム差は見られませんでした。
この結果から、牡馬におけるタイム差は条件戦のレース数等の他の要因によって導かれている可能性が高いと思われます。

同じ馬で負担重量が重くなった場合はどうなの?

最後に、「牝馬の52kgなんてハンデ戦でしか使用されないんだから、同タイムなのはハンデキャッパーが上手いだけだろ」という批判に対する証明をしておきます。

以下の表は、52kgでの出走頭数が最も多かった小倉の芝1200mにおいて、過去4年間に52kgと55kgの両方で出走したことがある4歳以上牝馬の全37頭の負担重量別の平均走破タイムをまとめたものです。

分析頭数52kg55kg
小倉 芝1200m37頭1:08.91:08.9

驚いたことに両者の平均走破タイムは完全に一緒になったのです。

なお、両者のタイムを比較したときに、52kgの走破タイムのほうが速い馬が17頭、55kgの走破タイムのほうが速い馬が18頭、同タイムが2頭と綺麗に分かれました。
この結果からも、やはり競走馬の走破タイムには負担重量は影響していない可能性が高いことが読み取れます。

まとめ:ハンデ戦では負担重量の重い馬を狙え

ハンデ戦は負担重量の重い馬を狙え

これは競馬好きの人であれば耳にしたことがある格言だと思います。
今回の調査から、負担重量が走破タイムに影響しないと想定した場合、競馬のプロであるハンデキャッパーが強いと認めている馬、つまり「負担重量の重い馬」がレースの上位に来ることは当然の結果なのです

この記事の結論は競馬好きの人からすれば納得しがたいデータかもしれません。
ただ、今回の調査が少しでもここまで読んでくださった方の馬券購入の参考になればと思っています。

【雑談】
競走馬の平均体重は500kg前後です。その中での1kgと言えば体重の0.2%程度にしかなりません。
体重60kgの成人男性に当てはめるとたった120gです。
5kgのお米を運んでいるときに上にキュウリを1本置かれたくらいではたしかにあまり到着時間に影響はないかもしれませんね。