【検証】馬体重の増減はレースに影響ある?
馬体重とその増減はレース結果を予想するうえで大事な要素になっている方は多いはずです。
そのため、もちろんテレビやラジオでも馬体重とその増減は必ず発表されます。
競馬を長年やっている方だと「大幅な馬体重の増減がある馬は買わないほうがいい」と考える方も多いのではないでしょうか。
今回は馬体重の増減についてレースタイムとの関連性を見ていきましょう。
目次
前提:なぜ馬体重は偶数なのか?
たまに気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「馬体重が全て偶数なんだけど」
「馬体重の増減ってなんで全部偶数なの?」
競馬場やウインズでたまにこういう話を耳にします。
実はこれには明確な答えがあります。
JRAの使っている馬重計(馬用の体重計)が2kg単位だからです。
ちなみに、地方競馬では1kg単位で計測されるので、馬体重の増減が奇数の馬の多くは前走が地方競馬だったりします。
これは「競馬における1kgはほぼ誤差の範囲」ということを暗に示していたりするので、これを知っていた方は過去のハンデ戦についての記事も納得できるのではないでしょうか。
馬体重の増減は走破タイムに影響するの?
それでは、馬体重の増減によるレースの走破タイムの差を見ていきましょう。
今回も2016年1月~2020年8月末までのJRAで開催された全レース、のべ22万5564頭のレースデータを使っていきます。
出走頭数が比較的多い競馬場・コースにおける4歳以上の馬の良馬場の平均走破タイムを表にしてみました。
マイナス馬体重の影響を徹底分析
まずはマイナス馬体重のレース結果をまとめてみます。
増減なしの場合の走破タイムと0.5秒以上の差があるものには色を付け、参考値以外で0.7秒以上の差があるものは太字にしてみました。
※のべ出走頭数が20頭より少ないところは参考値として()内に記載しています。
のべ出走頭数 | ~-20kg | -19kg~-10kg | -9kg~-4kg | -3kg~-1kg | 増減なし | |
---|---|---|---|---|---|---|
小倉 芝1200m | 881頭 | (1:10.3) | 1:09.1 | 1:09.0 | 1:08.9 | 1:08.9 |
東京 芝1600m | 582頭 | (1:34.3) | 1:34.3 | 1:34.2 | 1:34.4 | 1:34.2 |
阪神 芝1800m | 320頭 | (1:48.0) | 1:47.1 | 1:47.1 | 1:47.3 | 1:47.2 |
中山 芝2000m | 333頭 | (2:05.7) | 2:01.8 | 2:01.3 | 2:01.7 | 2:01.7 |
中山 ダート1200m | 1147頭 | (1:12.5) | 1:12.3 | 1:12.3 | 1:12.3 | 1:12.1 |
東京 ダート1600m | 994頭 | (1:39.2) | 1:38.0 | 1:38.3 | 1:38.3 | 1:38.5 |
京都 ダート1800m | 825頭 | (1:53.9) | 1:54.1 | 1:53.7 | 1:53.5 | 1:53.6 |
阪神 ダート1800m | 735頭 | (1:55.3) | 1:54.6 | 1:53.9 | 1:54.0 | 1:53.8 |
いかがでしょう。
馬体重の減少幅はあまりタイム差に影響していないようにも見えます。
赤色がついているもののほとんどは参考値で、-19kg~-10kgの列で色がついているものも2つがちょうど0.5秒差でした。
しかも、東京ダート1600mで言えば、馬体重の増減なしの平均タイムより0.5秒も早いという結果になっています。
つまり、この表から考察すると
馬体重のマイナスは2桁の減少でないと影響はなく、大きな影響が出てくるのは-20kg以上の減少時
という結果が導けそうです。
プラス馬体重の影響を徹底分析
さて、次はプラス馬体重の影響を見ていきましょう。
こちらでも増減なしの場合の走破タイムと0.5秒以上の差があるものには色を付けてみました。
※のべ出走頭数が20頭より少ないところは参考値として()内に記載しています。
のべ出走頭数 | 増減なし | +1kg~+3kg | +4kg~+9kg | +10kg~+19kg | +20kg~ | |
---|---|---|---|---|---|---|
小倉 芝1200m | 791頭 | 1:08.9 | 1:09.0 | 1:08.8 | 1:09.0 | 1:09.1 |
東京 芝1600m | 609頭 | 1:34.2 | 1:34.4 | 1:34.4 | 1:34.4 | (1:35.1) |
阪神 芝1800m | 328頭 | 1:47.2 | 1:47.3 | 1:46.8 | 1:47.2 | (1:46.6) |
中山 芝2000m | 458頭 | 2:01.7 | 2:02.2 | 2:02.0 | 2:02.2 | (2:03.5) |
中山 ダート1200m | 1420頭 | 1:12.1 | 1:12.3 | 1:12.2 | 1:12.4 | 1:12.7 |
東京 ダート1600m | 998頭 | 1:38.5 | 1:38.6 | 1:38.7 | 1:38.9 | (1:39.0) |
京都 ダート1800m | 1067頭 | 1:53.6 | 1:53.5 | 1:53.6 | 1:53.6 | (1:54.2) |
阪神 ダート1800m | 675頭 | 1:53.8 | 1:53.7 | 1:53.9 | 1:53.9 | (1:55.2) |
こちらの結果も馬体重の増減が影響してくるのは+20kg以上でした。
+19kgまでで赤色になっている2つはどちらもちょうど0.5秒差です。
微妙なところではありますが、これも誤差の範囲と考えることは出来そうです。
つまり、プラス体重のほうも大きな影響が出てくるのは+20kg以上の増加時と言えそうです。
まとめ:馬体重で切るのは20kg以上の増減のみ
ここまでのデータ分析からも20kg未満の馬体重の増減はレースの走破タイムにほとんど影響しないことがわかりました。
これまで「10kg以上の増減のある馬は切る」と決めていた方はもう一度上記の表を参考にして考え直してもいいかもしれません。
つまり個人的な考察では、馬体重の増減を理由に切るのであれば20kg以上の増減の馬のみにすることをオススメします!
この記事がここまで読んでくださった方の馬券の参考になれば幸いです。